大フィル10月定期を聴きに行ってきました。チケットは売り切れとのことだったのですが、親切な師匠に手配いただきまして、いつもいつもありがとうございます。
お目当てはハイドンのチェロ協奏曲第1番(独奏:ピーター・ヴィスペスウェイ)。実は10年ほど前にヴィスペルウェイさんの演奏は生で聴いたことがあるのですが、その時はバロック楽器だったので(プログラムはバッハの無伴奏とシューベルトのアルペジオーネでしたかね)、モダン楽器での演奏を聴くのは初めてです。
いやー、巧かったですねえ。演奏はほぼピリオド奏法だったのですが、その解釈とカデンツァはむしろ前衛的ですらあり、なんだか超絶技巧ハイドンって感じでした。オーバーアクションや弾きながらオケに指示しちゃったりするエンターテイナーっぷりもひとつの魅力なんでしょう。
ただ引っかかったのは、巧さが手練れのように見えるときがあったこと。そのためか、結果的には演奏後に残る余韻が少なかったんですよね。隣のブルジョワ婦人たちのおしゃべり(演奏中ずっと!)にイライラしていたせいかもしれませんが、うーん、私の耳は悪い批評家みたくなっちゃってるんでしょうか。ちょっと自己嫌悪。アンコールはバッハの無伴奏でした。
ちなみにこちらのヴィスペルウェイさんはウィリアム・プリースさんにも師事されていたようで、師匠とは遠く兄弟弟子の関係に当たるんですが(そういえば、かのジャクリーヌ・デュプレもです)、いやぁ皆さん全く違いますね。んでから私は師匠の演奏の方が好きですよ。って、そういうことは直接言えよって話ですね。
オケは悪くはなかったんですが、ソロがわりとアグレッシブで鋭い音だったこともあり、高弦が若干ぼんやりして実音が聴こえづらかったのはちょっと気になりました。2階席だから響きしかやって来ないのかなぁとも思ったのですが、一概にそういうわけでもなかったようで・・・。そうそう、指揮の大植さんは衣装のツヤ感が黒ラブラドールみたいでしたよ!
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休憩中、近くの紳士にうるさいと怒られるブルジョワ婦人'sを横目に、コンサート二曲目は何だっけなとプログラムを開いてみれば「カルミナ・ブラーナ」とありまして、あーそうか、満員観客さんたちのお目当てはむしろこっちだったのか。プログラムから目を上げると、驚くべき光景が待ち受けておりました。
フルコン二台がど真ん中です。ピアノ近くで弾く弦楽器奏者さんたちにとっては(うるさくて)たまらんでしょうけど、見てる方にとっては、なんつか戦隊配置みたいでカッコいいです。や、実際とてもカッコ良かったです。視覚効果に弱いのか、私。普段は絶対にやらないんですが、ちょっとだけ撮影させていただきました。これぐらいなら大丈夫ですよね?
演奏はそれなり面白かったですよ。長い長い曲でオケも大変そうでしたが、歌のソリストさんたちが良かったので何とか持ち堪えました。声は最高の楽器なんてよく言いますけど、どうやったらあんな声が出るのか?とか、どうやってそのフレーズ感を構築できるものなのか!?とか、いろんな驚きがあり、おこがましくも(自分の)演奏の参考になりそうな気がしました。
終演後、師匠と他のお弟子さんたちとのゴハンにお邪魔させていただいたのち帰宅。