第2試合を途中で抜けて新宿へと移動。
軽く飲み食いした後、紀伊國屋サザンシアターへと向かいました。
こまつ座「私はだれでしょう」
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:佐々木蔵之介、浅野ゆう子、川平慈英、北村有起哉、梅沢昌代、前田亜季、大鷹明良
ピアノ演奏・朴 勝哲
誰もがラジオを聴いていた。
戦時中は「大本営発表」、8月15日には「玉音放送」。
敗戦。
東京放送会館は、建物の上半分を占領軍・CIE(民間情報教育局) に接収されるが、
ラジオの声は、焦土のすみずみにまでこだました。
「復員だより」「街頭にて」「のど自慢」、そして「尋ね人」。
日本は大きく変わろうとしていた。「公職追放」「財閥解体」
「新憲法」「教育改革」「東京裁判」「労働争議」・・・・・・。
これは、戦後のラジオ放送にひたむきに取り組んだ放送職員たちと、
日系二世の軍人と、そして「自分がだれかわからなくなってしまった」男の、
笑いと涙の青春グラフィティ。
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井上さんにとって今の日本は絶望であふれているのだろう。
それでも「日本とは」「日本人とは」という事実から逃げずに立ち向かい、
希望を示してくれるその優しさを、どう受け止めたらよいのだろうか。
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初日の幕が開いたのは8日遅れだったにもかかわらず
俳優さんからの信頼、観客の期待は微塵も失われることなく
魂のこもった力作を見せていただきました。
役者さんたちもホントに素晴らしかったです。
井上さんの台詞を言える幸せと、伝えなければならないという責務が
見ているコチラにもひしひしと伝わってきて(最前列だったし)
なんだか感動を通り越して、羨ましくなってしまうほどでした。
そうそう、観劇後に読んだパンフレットもとても面白かったです。
こまつ座(井上さん)の「観客を舐めない姿勢」は
本当にプロの、いや、人間の鑑じゃないかとさえ思いましたよ。
なんだか堅苦しいことを書いてしまいましたが
井上さんの作品は、老若男女誰にでも面白く見られますので
機会あればぜひ。