2009年1月17日

邂逅

新幹線では富士山が見えたのに、試合はフルセット負け。雲がかかってたのがダメだったんですかねえ。しかし幸か不幸か負け試合の悔しさを味わう余裕はなく、試合終了後は大急ぎの移動を余儀なくされることとなりました。バスを降りてからは猛然とダッシュ、渋谷の雑踏を走り抜けてBunkamuraシアターコクーンに到着したのは19時ギリギリのことでした。

野田地図 第14回公演「パイパー」(シアターコクーン)
作・演出・出演:野田秀樹
出演:松たか子、宮沢りえ、大倉考二、佐藤江梨子、北村有起哉、田中哲司、コンドルズ、橋爪功ほか

ものすごく食指が動いていた芝居ではなかったのですが、チケットを取ってもらえるとの事で、ならばとホイホイお願いさせていただきました。着席してみればさすがの良席、ありがとうございます。ああなんとか間に合ってよかった・・・。

芝居にハマったキッカケが野田さんだったわりに、様々な理由でここしばらく野田地図観劇からは遠ざかっていましたが、ひさびさの野田脚本はやっぱり凄かったの一言です。絶望に限りなく近いメッセージのなかに漂う一片の希望。生きているふりだなんていう言葉は野田さん流の修辞に過ぎず、これだけ全力で生きてる人の言葉だから、やっぱり響くんだろうなあと痛感しました。

役者も良かったですね。とくに宮沢りえさん、以前見た「透明人間の蒸気」では体の細さ以外はあまり印象に残らなかったのですが、今回は存在感がありました。予想よりも早く声が潰れていたにもかかわらず、それがまた役どころに合った魅力になっていて、ファンになりそうなほどでしたもの。すべてにおいて器用な松さんとのコンビも案外バランスが取れててよかったですね。

男優陣で出番が多かったのは大倉孝二さんと橋爪功さんのコンビ。大倉さんはあの喋り方でなぜあれだけ表現できるのかが未だに不思議なんですが、動きも含めてどんどん上手くなっておられますよね。テレビよりも舞台で見たい役者さんです。
橋爪さんの起用意図は終盤になって「おおそうか!」と納得。ものすごい役でしたが、演じることが楽しくてたまらないといった感じでしたね。こういう姿というのは観る側にとっても嬉しいものです。

あとはいつものごとく作者特権でキーパーソンを演じた野田さん。あの高声はときどき聞き取れないんですが、ラスト滅びゆく国への演説シーンはやはり迫力がありました。あれを言いたくて書いてるんだから当然のことだとはいえ、まだ頭の中でその言葉を噛み砕けてない自分がすごく悔しいです。ま、観劇後もあれやこれやと推論を巡らして楽しむのが野田地図の醍醐味なんですけども。

なのであえて難点を挙げるとするならば、ちょっと飽きがきた感じがある衣裳と選曲でしょうか。とくに高都さんの選曲はここのところ安易すぎると感じるんですよね。逃げ惑うシーンでラフマニノフってのは百歩譲るとしても(「走れメルス」もそうでした)ラストにあの音楽ってのはどうなのか。夏の歌舞伎でもそうでしたが、あれほど強い言葉にBGMが要るのでしょうか。曲名が気になって集中できなかったので、ちょっと八つ当たり気味です。
(ちなみにラストの曲名はグリーグの「Last spring」。知ってる人が聴けば「ああ、あのシーンね」って分かる曲です)

さ、脚本を読んで、キャラメルのように二度三度と楽しみましょう。
たまには考えるふりもしないと。

 

2008年12月13日

三度目

ちょっと切羽詰った事情を抱えつつも行ってきました。
表現さわやか第5回公演「美少年オンザラン
書きながら気付いたんですが、美少年、出てましたっけ?

さわやか観劇は第3回公演からですので今回が3度目なんですが、総笑い数は前回のポエムの方が多かったかなー。とはいえ今回もクスクスと笑わせてもらいました。つか爆笑し続ける方がある意味どうかと。ましてやいかに爆笑したかを終演後に熱く語るのはどうなんかと。いやまあ個人の自由に立ち入る権利はないんですけど。

全体としてはやっぱり池鉄さんが出ると素直に舞台が締まりますねえ。反面どうも間延びするのは客演佐藤さん。何がアカンのか分からんのですが、セリフが言葉になってない感じがするんですよ。前回に引き続き序盤ネタ登場だったんで、舞台が暖まるのに時間がかかった一因になってた印象。それが狙いならアリなんでしょうけど、個人的にはちょっとイライラしてしまいました。

モンド賞セレクション、ホンダとなかなかスレスレなネタに笑わされつつ(今思えば、モンド賞は池鉄さんの出てた明治のチョコCMっぽかったなぁ)個人的にウケてしまったのは市川家の温泉旅行でした。旅館の和室と松に異様に反応する一家、もう一押しあればカンペキでしたけど、ま、その辺の温度が丁度良い加減なのかな。あと、前回までは苦手ネタだった永井大ネタが今回は長渕剛ネタになっており、これまた最初は引き気味でしたが、途中からは努力賞的に笑わされちゃいました。いけしんさんの筋肉に拍手つーことで。
とかなんとか言いつつ、一番心に残ったのは「チラリン高校」に登場した永二さんのラスト微笑だったり。ありゃヤられましたわ。

来年は東京公演オンリーのようですが、スケジュールが合えば観に行きたいですね。

*****

今週末は試合がなく、ゆるり気分でスコアだけ確認してたんですが
なんですかSprings内定選手がまた一人判明したようで、あぁツクバーズですか。確か地元明石ご出身なんでしたっけ。今度こそ大卒(というか筑波大の)イメージを良くする選手となるよう願いつつ
いらっしゃいませ。

 

2008年8月23日

愛陀仏

野田歌舞伎が上演されるということ以外は一切予習なしで歌舞伎座に出向きました。 駅の階段でチケットを取ってくれた後輩が歩いているのが目に入り、そのまま一緒に座席へ。

一幕目は「紅葉狩」
お姫様の登場時、「中村屋!」の声がかかりましたので、どちらかなと見てみれば顔がガッシリしてらっしゃる。勘太郎さんですね。踊りがメインの演目はともすると寝てしまうことが多いのですが、この作品は音モノが派手で、超絶技巧の三味線演奏なんかもあったりして寝る間もありませんでした。でもやっぱり今ひとつインパクトがなかったのは、私の無知のせいか役者の若さのせいか・・・。

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「幕の内弁当」@歌舞伎座食堂

質量ともに塩梅よく美味しかったですよ。

さて、後半はお目当ての「野田版愛陀姫」です。
なにしろ原作オペラのアイーダも知らなければ歌舞伎にも疎いときてますから、何とも比べようがなく、おかげで純粋に楽しむことができました。

とにかくアイーダを濃姫@戦国時代に置き換えるという発想が素晴らしかったですね。セリフも例によってグッと来るものがいくつかありました。松尾さんのセリフがボディーブローなら、野田さんのはさしずめ脳髄に沁みる脳内麻薬といったところですか。アタマが感動しまくってました。

野田版歌舞伎は録画、生を織り交ぜながら全て観ていますが、個人的には今回の愛陀姫が一番好きかも。勘三郎さんの濃姫が情念つまってて、ものすごく良かったんですよ。勘三郎さんは本来別の役を演じるはずだったのが、脚本を読んで「濃姫やりたい!」になっちゃったそうですが(←ワガママ放題ですな)本来は何役をやる予定だったんでしょう?愛陀姫はあり得ないし、木村駄目助ーあたりでしょうか。結果的には皆さん適役だったようにお見受けしました。

お芝居は濃姫×愛陀×駄目助を中心に進行するのですが、その中で実は大きく舵を取る役割を担ったのが偽祈祷師コンビ(福助&扇雀)。荏原と細毛という名前からして野田さんの意向が大きく表れているわけですが、福助さんの色気封印コミカル加減がたいそう絶妙でした。ワタクシご贔屓の七之助くんも頑張ってましたし、いろいろと見応え聞き応えがありましたわ。

そうそう、特筆すべきは音楽。トランペットが歌舞伎座で流れたのは初めてだったとのことですが、なかでも邦楽器演奏によるアイーダは良かったです。サントラ出してほしいぐらいに。ただ・・・ラストがマーラー5番のアダージェットというのだけはいただけませんでした。ここまでヴェルディ×和で来ておきながら、最後(=死)はマーラーってのはあまりに安易すぎますやん。風船演出とあいまって、これは心底ガッカリでした。

*****
終演後は後輩ちゃんと銀座ど真ん中でコーヒーなぞ。
も、値段から雰囲気まですべてが「銀座」なお店で目一杯楽しんできました。

いろいろとThanks so much!な一日でしたね。

 

2008年8月22日

東へ

ひさしぶりにバレー観戦が絡まない上京。
新幹線だからと余裕をかましすぎて、結局いつものように大慌てで家を飛び出ました。なぜかチケットが東京→新大阪になっていたため、ちょいと手間取りましたが、なんとか事なきを得てチープ自由席に乗り込みました。新大阪発なので余裕です。

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「けだるい昼食」

車中で読み終えた「ダルジールの死」が予想外に面白く、いい旅の予感!
到着後は父親のマンションに荷物を放り込んでそそくさと出かけるはずでしたが、部屋があまりに汚かったため、掃除嫌いのこの私が片付けをする羽目に。一服してテレビをつけると男子バレー「アメリカvsロシア戦」第5セット中盤。待ち合わせ時間を気にしつつも試合から目を放せず、見てしまいました。最後は真鍋さんの予言どおりアメリカのブロックがビシーと決まりゲームセット。このまま金メダル行くかもしれませんね。

慌てて渋谷へと向かい、後輩ちゃん@大阪と合流した後シアターコクーンへ。
松尾さんの新作「女教師は二度抱かれた」を観てまいりました。

キャスト
市川染五郎、大竹しのぶ、阿部サダヲ
市川実和子、荒川良々、池津祥子、皆川猿時、村杉蝉之介、宍戸美和公、平岩 紙、星野 源、少路勇介、菅原永二、ノゾエ征爾
浅野和之、松尾スズキ

松尾作品といえば「衝撃!」ってなほどに、その破壊っぷりがもてはやされてきたわけですが、最近は以前に比べて作風が(一見)穏やかになり、それにともない会話の練られ具合が以前よりも深くなってきたように思います。代償行為にうるさいのは相変わらずですが、じんわりボディーブローのように効いて来るような脚本はやっぱりむちゃくちゃ面白く、満喫させていただきました。はやく掲載誌を読まねば。

今回の作品は「欲望という名の列車」の主人公ブランチのその後、というのが裏テーマとのこと。ブランチ役も演じ済みの大竹さんですが、松尾語をきちんと消化した上でのキチガイっぷり。毎度のことながら凄いですねぇ。しかもこんな役をやっていながら「毎日元気」だなんて・・・女優って怖い。

他キャストでは染五郎さんが小劇場界の新進演出家、阿部さんが歌舞伎役者、などなど虚実おりまぜた役どころでしたが、皆さんすさまじい芸達者っぷり。なかでも阿部さんは女形そしてゲイという設定だったんですが、ここ数年で一番の怪演じゃないでしょうか。そりゃ阿部一族(=阿部ファンの総称)ならずともリピートしたくなりますわな。一見なにも考えてなさそうにさえ見える人ですが、も、全身演技が素晴らしすぎでした。ゲイバーでの歌唱シーンと発泡酒のCMシーンはのけぞるほど笑いましたよ。サントラ出してほしいなあ。(その際は「業音」もカップリングでお願いします)

そんな歌舞伎役者いるいる!なのかどうかは分かりませんが、そんな歌舞伎監修をも務めた染さんは逆にヘロヘロな役どころ。でも舞台全体に大きな力を与えているんだろうなということが伝わりまくる存在感。お腹は少々ぽっちゃりしてましたが、脚はさすが鍛えられた筋肉でした。

あとはそうですね、初見のノゾエ(征爾)さんがえらく良かったのにびっくり。キモい風貌という設定に騙されてました私。台詞をうまく立てるのが難しいシーンでもソツなくこなしておられました。あなどりがたし松尾チルドレン。猫ホテの菅原さんも良かったですよ。上手いのは存じ上げてましたけど、動きもセリフも味がありました。おかげで私の大好きな蝉さんが霞んでしまいましたから・・・。ラストまで主役と絡むセリフがあったことにも驚きでした。

松尾さんの歌&ダンスも堪能できましたし、時計を気にすることのない3時間でありました。テレビ放映が今から楽しみです(DVDが出るという噂もありますが)。

*****

観劇を終え、父親のマンションに入ろうとすると、どういうわけだかチェーンがかかっており、ドアが開きません。呼び鈴を押してもケータイを鳴らしても、戸の隙間から呼びかけても音沙汰なし。時間も時間ですし、参ったなあと悩むことしばし...裏に回って蚊に刺されながらベランダをよじのぼり、あっさりと侵入成功。父は案の定、窓を開けたままひっくり返って寝てました。なんとメーワクな!私が入って(帰って)きたことにもまったく気付かず、以前「痴女に襲われたらどうしよう」なんて話してましたけど、普通に泥棒が入り放題やんか。

てなわけで、泥棒第一号はビールを飲みながらパンフ鑑賞。松尾さんインタビューがカッコ良すぎです。サイコーおやすみ。

 

2007年7月18日

犬顔家

気分転換ってことで、久々~んにフラリと芝居を観てきました。

劇団☆新感線「犬顔家の一族の陰謀」

新感線の、しかもチャンピオン祭りですからね
今以上それ以上におポンチな内容でした。
メイン役者のみで成り立つ芝居なのも相変わらず。
実の所、この手のネタものはあまり好みじゃないんですが
それはいいんです、覚悟してましたし、それなりには面白かったから。

だけどねー、周りの客がねー。
「●●だから△△だって~アハハハハ!」
劇場=お茶の間感覚の観客が多いんですよ、新感線って。

喋るな!!

***
収穫は、えーと。

・短髪の粟根さんは思いのほか好印象だった
・木野花さんはやっぱりステキであった
・立ち回りと台詞をこなす古田さんは凄まじくカッコよかった
(「桜の森」の台本をもう一度読み返したくなっちゃいましたぜ)

てなことですかねえ。

パンフも豪華でしたよ。
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付属の小冊子なんて、横溝正史ファンもビックリの代物です。

***
休憩中に、たんまりと入っていたチラシをめくっていると
キャバレー」と、そして「犯さん哉」のがあったんですが
大阪公演は日程がダダかぶりなんですねぇ...

恒例の「e-oshibai(イーオシバイ)DVD宣伝」も入ってました。
劇団新感線20th century BOX

・・・こ、これは!

「大江戸ロケット」DVD化ですか!
私が見た回が(いしだ壱成)最後の公演になってしまった
深津ちゃんに初めて生遭遇した、あの伝説の作品が...!ではなく

ボーナストラック2ですよ。
あの「オロチロックショー」と「オロチGTR」が映像化ですって!
脂ギメタル!見たい見たいよー(前者は生で見てるんですけどね)

でも、36,000円...考えてはみましょう。

*****

ぶつくさ言いつつも、頭をスッカラカンにしてスッキリ。

なんや分かりませんが、頑張ろうかなっと。

 

2007年2月10日

私はだれでしょう

第2試合を途中で抜けて新宿へと移動。
軽く飲み食いした後、紀伊國屋サザンシアターへと向かいました。

こまつ座「私はだれでしょう」
作:井上ひさし
演出:栗山民也

出演:佐々木蔵之介、浅野ゆう子、川平慈英、北村有起哉、梅沢昌代、前田亜季、大鷹明良
ピアノ演奏・朴 勝哲

誰もがラジオを聴いていた。
戦時中は「大本営発表」、8月15日には「玉音放送」。
敗戦。
東京放送会館は、建物の上半分を占領軍・CIE(民間情報教育局) に接収されるが、
ラジオの声は、焦土のすみずみにまでこだました。

「復員だより」「街頭にて」「のど自慢」、そして「尋ね人」。
日本は大きく変わろうとしていた。「公職追放」「財閥解体」
「新憲法」「教育改革」「東京裁判」「労働争議」・・・・・・。

これは、戦後のラジオ放送にひたむきに取り組んだ放送職員たちと、
日系二世の軍人と、そして「自分がだれかわからなくなってしまった」男の、
笑いと涙の青春グラフィティ。

*********

井上さんにとって今の日本は絶望であふれているのだろう。
それでも「日本とは」「日本人とは」という事実から逃げずに立ち向かい、
希望を示してくれるその優しさを、どう受け止めたらよいのだろうか。

**********

初日の幕が開いたのは8日遅れだったにもかかわらず
俳優さんからの信頼、観客の期待は微塵も失われることなく
魂のこもった力作を見せていただきました。

役者さんたちもホントに素晴らしかったです。
井上さんの台詞を言える幸せと、伝えなければならないという責務が
見ているコチラにもひしひしと伝わってきて(最前列だったし)
なんだか感動を通り越して、羨ましくなってしまうほどでした。

そうそう、観劇後に読んだパンフレットもとても面白かったです。
こまつ座(井上さん)の「観客を舐めない姿勢」は
本当にプロの、いや、人間の鑑じゃないかとさえ思いましたよ。

なんだか堅苦しいことを書いてしまいましたが
井上さんの作品は、老若男女誰にでも面白く見られますので
機会あればぜひ。

 

2006年12月 8日

ボーナスおめでと

朝からホワイトチョコレートモカを飲みつつ仕事。

課長は本日より彼女と沖縄バカンス中。
私も早く上がって「表現さわやか」を見に行こうかなと。
かなり面白いらしいんで、お時間ある方は週末にでもどうぞ。

あ、「Hon-nin」買いに行かなきゃ。

*****
口止め解禁につき

バタバタバタと仕事を片付けて、後輩引っ張って難波へ。
「表現・さわやか」を観に行ってきました。

池鉄さんにはいろいろやりたいことあるんだなーってことと
それを実現できるってすごいなーっということは感じつつも
終始いけしんさんのテンポにだけはついていけず
特に「長井大」ネタは苦しかった。非常に苦しかった。長過ぎ。

あとはけっこう面白かったかーなー。
ヤマサキ春のパン祭りも吉野家もかなり笑ったし。
(ってかこのネタが気に入ったんですけどね)

俳優としては菅原さんの上手さを改めて思い知りました。
そりゃあ松尾さんも使いたくなるよな。
明らかに映像より舞台向きの人だもんなあ。

ちょっと遅くなれない事情があったもんで
せっかくのトークショー(楠見薫さん)を聞けなくって残念でした。

 

2004年5月30日

040530

 男子バレー勝ちましたね。
 なにはともあれお疲れ様でした。

 「ドライブインカリフォルニア」千秋楽
 前回(水曜日)にくらべると後列でしたが、格段に見やすい席だったため
 芝居の印象までがガラリと変わって見えました。
 やっぱり座席位置は重要...。
 
 前回はやたら片桐さんが光って見えたのですが
 今日は主役の秋山さんに圧倒されましたわー。
 いやもちろん、脇役の方々もすばらしく良かったのですけど
 何かこう、迫力のようなものがね、漂ってきた気がしました。
 座席のせいかもしれませんが。

 そして今日も小日向さんは会社の支社長だったのでした。
 同席していた会社の同僚たちも同意していたのですから間違いありません。
 あ、田口さんは水曜日よりも好印象でした。
 座席のせいかもしれませんし、私の中ではやはり手塚さんが抜けないのではありますが...。

 仲村さんは少しリラックスされていたのか、
 決め台詞の前には必ずちょっと笑っていたような気がしました。
 座席のせいかもしれませんが。

 カーテンコールで松尾さんがカツラを投げ捨てていました。
 あぁすてき。
 明日はやっぱりサイン会へ、レッツラゴー。

 

2004年5月26日

040526

 久々に松尾さんのお芝居を観に行った。
 日本総合悲劇協会(ニッソーヒ)「ドライブイン カリフォルニア」
 大阪公演平日、阿部さんも宮藤さんも出演していないにも限らず、
 二階席まで満席なのに、失礼ながら驚く...。
 
 前評判は、「ニッソーヒにしてはおとなしめ」だとかなんだとか、微妙な風向きだったけれど、
 この世界、この台詞、このマンガ...どこをとっても松尾エッセンスがみっちり詰まった作品だ。
 安っぽくなりすぎないポップ感、まぬけさも含めて実にカッコ良い。ほんとに好きだ。

 役者さんもプロきわまりない人がズラリ。
 秋山さん、片桐さんなどはもう、まるで住人かのように当たり前に存在している。
 特に片桐さんは、ココ近年の出演舞台はほとんど見ている(つもりだ)けれど
 松尾作品ほどに、その全てが生かされている芝居はないと思う。

 大人計画組では猫背さんと良々くんが驚くほどに上手くなっている。
 古参メンバー田村さん、村杉さんも言うに及ばず。久々の田村さんも良かったな。
 異色系新人としては、小池栄子さんと中村トオルさん。
 小池さん、あのメンツの中では善戦。
 清々しいまでの思い切りの良さを生かして、もう一歩自分の世界へと突き抜けてほしい。

 そして中村トオルさん。
 これが舞台2作目(1作目はあの「羅生門」らしい...)とは思えぬほどにドンピシャ。
 松尾さん演出もそれだけ決まっていたということもあるだろうけど
 声も立ち姿も...素でカッコ良いのね...いやマジで。
 カッコ良い存在感がありすぎるあまり、片桐さんとの夫婦としての絡みが弱くて
 役を演じるという点においては、初演の浅野さんの方が好みなのだけど
 あれだけカッコ良いと、まぁいいやと許せるほどに、存在価値高し。
 役者は見せてなんぼ、だし。

 小日向さん&田口さん兄弟は...正直、初演の方が好き。
 この二人が物語の色を薄めちゃったんじゃなかろうかなぁ。
 それが、あえてのことで、より普遍的に見せるという意図であればいいのだろうけど
 せっかくのニッソーヒだしなと、つい期待してしまう。

 小日向さんは、ご本人には何の関係もないのだけれども
 そのメガネ姿が、私の会社の支社長に似ていることに途中で気付いてしまい
 「あぁ、小日向さん(=支社長もどき)が、ステキな台詞を喋っている」
 「小日向さん(=支社長もどき)が、こんなことやあんなことをしている」
 といった具合に、少々集中できない思いを抱いてしまった事も一因かもしれない...。

 松尾さんに言及する前に、睡魔の波が押し寄せてきたので...。
 楽日観劇後に書くこととする。

 31日の松尾スズキサイン会には行くことに決めた。
 (そのために、もう1冊「これぞ日本の日本人」を買わねばならない)

 

2004年5月19日

京都行

本日有休。
会社の先輩と京都南座へ「南座花形歌舞伎」を観に行く。
恥ずかしながら、初・南座だったのだが、聞きしにまさる暗さ。
売店も狭い。舞台生写真もない!
上方歌舞伎再興のためには、もっと南座は頑張らなあかんでしょうに...。

お目当てが中村芝のぶさん(昼のみ出演)と、福助さんの「藤娘」だったので、
派手な仕掛け物のある夜の部ではなく、昼の部にしたのだが、周りは寝てる人だらけ。
「藤娘」はさすがだったし、橋之助さんも好演、若手の愛之助&亀治郎も奮闘していただけに、
演目も脇役陣も、もう一息どうにかならんかったのかなぁと思う。
愛之助さんも亀治郎さん、そして亀寿さんのいずれもが初役だったらしく、
全員がそれぞれの役を「片岡のおじさん(=仁左衛門)に教わった」とあり
それはとても微笑ましかった。

ま、しかし、三階席ながら最前列中央から「藤娘」を堪能できただけでも、来た甲斐はあった。
関西なので有名人なぞ居ないだろうと思っていたら、休憩中、西川広志夫妻も見かけたしね。
テレビより小顔で男前だった。
 
観劇後、予約しておいた麩まんじゅうを買いに、麩専門店「麩嘉」へと向かう。
最寄駅の地下鉄「丸太町駅」と京阪「丸太町駅」が意外に離れていたために、
結果的に京都御所を突っ切る形となり、御所の広さをたっぷり味わう羽目になった。
「この近くに一保堂(有名な茶葉専門店)があるよ」とのことで、立ち寄ることにする。

寺前通という骨董品店が建ち並ぶ通りの一角にある一保堂茶舗は、
老舗の店構えながら店内は「一見さん拒絶」などといった雰囲気はないのだが、
茶箱が立ち並ぶ雰囲気はやはり圧倒的。
頭上の茶葉値段表には抹茶・玉露・煎茶・番茶それぞれの銘柄と金額が並んでいたが
銘柄を見て味が分かるわけでもなく、悩む。ちなみに玉露の最高級品などは
100グラム10,500円。さぞかし美味しいんだろうなあ。

先輩は煎り番茶と新茶を購入。
「(煎り番茶を)飲まれたことがありますか?」と確認されていたが
何でもオリエンタルティーのようなスモーキーな味で、ちょっと変わっているのだそうな。
葉の形状も普通のお茶と違って広葉であり、200グラムとは思えないほど嵩高いので、
おすそ分けして下さるとのこと。ありがたし。

私も真似して新茶と番茶を購入することにして、店員さんにお勧めを尋ねると
「緑の番茶ですか?それとも茶色の?」と聞かれる。緑の番茶があるんだ!と驚きつつ、
店員さんオススメの緑の番茶「若柳(一番高いやつ)」をそそくさと購入。
麩饅頭とお茶...さぞや美味しいことだろうよ。わくわく。

いよいよ目指すは「麩嘉」本店である。
京都のお店は大きい看板のようなものがあまりないので、探すのに少し苦労したが、
大きなおかめの絵が描かれた暖簾にFu~Kaとある。おぉ、やっと着いた。
  
「いらっしゃい」の声で暖簾をくぐったものの、売り場らしきものは一切なく、
6畳ほどの畳座敷があるきりで、奥で生麩を製造しているらしき作業場が垣間見える。
あれ?と怪訝に思いながらも「麩饅頭を予約していた者ですが...」
おずおずと、白い上っ張りのお姉さんに告げたところ
「10個予約の○○さんお越しで~す」と、業務用ガラスケースから包みを取り出してきた。

麩饅頭以外には置いてないんだろうかと逡巡していると、先輩が代わって訊ねてくれた。
するとお姉さんは、これまたサラリと「ありますよー」と、無造作に先程のガラスケースから
ステンレスパッドを取り出すではないか。羊羹大の大きさの生麩が数種類ずらり。
緑やら白やら色々あり、生麩好きの私の頭は早くもクラクラである。
 
「こちらが一般的な、よもぎ、粟(あわ)です。青海苔はお饅頭(麩饅頭)と同じですね。
変わったところですと道明寺麩。これはお料理なんかに向いているといわれています。
それからこちらが白胡麻、黒胡麻入り。これは季節のもので梅肉麩ですね。
これは黒胡麻と白胡麻のミックスで、(その見かけから)鯨麩と読んでいます。
生をわさび醤油でいただくと美味しいですよ」

...あぁ、めくるめく生麩の世界...しかし悩む。いつもの私なら「大人買い」しかねない所だが、
あいにく手持ち現金が3,000円ほどしかなく、生麩の詳しい値段も分からなかったため、
よもぎ生麩と鯨生麩だけで我慢することにした。

しかし、お金を払おうとして横を見ると値段表が貼ってあるではないか。
意外と安い。まだ買える! 「すみません。やっぱり梅肉麩も下さい!」
店員さんが丁寧に包んでくださるのを待っている最中、
「大徳寺麩(=揚げ生麩、利休麩ともいう)」を頼まれていたことを思い出した。
「...すみません、大徳寺麩も下さい...」
ブラックリストにでも載ったらどうしようかと思いつつ、店を後にした。

道すがら、美味しそうなケーキ屋さんがあり、お茶をしたそうな先輩だったが
JR昼得きっぷだったので、17時までに京都駅に着かねばならず、
それに何より先輩自身が17:30に大阪駅で待ち合わせとのことだったので
「どう考えても真っ直ぐに京都に行かないと時間ないと思いますよ...」

帰りは地下鉄丸太町駅からスムーズにJR京都駅着。
時計を見ると「16:52」。バッチリだ。
17:01発の新快速にて帰途についた。

久しぶりの京都。やっぱり楽しかった。
せっかく平地なんだし、今度は自転車を持ってこよう。
で、寺社巡りもして、あの店にもこの店にも行って...散財しそうだが、
東京に行くよりは安いものだ。

といいつつ、東京にも行ってしまうのだから始末に終えないのであるが。

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 「本日の戦利品」

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 「鯨麩」

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 「麩嘉饅頭(=麩まんじゅう)」

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