出発
朝方バタバタと荷造りを済ませ、タクシーで空港へ。
成田行き(乗り継ぎ)カウンターは三連休のためか長蛇の列。ようやく順番が回ってきたと思ったら、これまた手続きに時間がかかることかかること...せっかちな母のクレーマーモードが発動しそうな気配でしたので、「あっちで待っとき」と声をかけようとした時、受付嬢がようやく声を発しました。
「お客様のお席をビジネスに変更させていただきました」
なんと!マジですか!あー余計なこと言わんでよかった。あとで母に「ほらね、旅行中は『短気は損気』ですよ」と言いきかせ。
富士山!!幸先いいな。
成田到着。さて、腕時計に電池を入れてもらわねば。どこかに時計屋さんは・・・どこにもありません。はぅぅ、スキポールで時計買うかな。ラウンジにてビール少々。
そんなこんなで乗り込んだ人生初ビジネスクラスは快適そのものでした。ご飯は美味しいわ、座席はリクライニングききまくるわで、12時間のフライトがまったく苦にならず。それどころか音楽聴いてテトリスやって「南極料理人」を見終えると眠くなってしまい、楽しみにしていた「This is it」さえ見られずじまいだったのでした。隣の母は「いくらビジネスクラスだからって、こんな贅沢やってるからJALは潰れるんだ」などと怒っておりましたが。
「リクライニング」
「小鉢八つの肴」
「ぼたん鍋共地味噌餡」
「専用テレビ画面」
到着前の食事は注文制だったのですが、「せっかくなんやし食べてみいや」と横からちょっかいが入りましたので、ちりめん雑炊を美味しく食べてしばらくするうちに、あっさりとスキポール巨大空港に到着してしまいました。こんなに早く感じたフライトは初めてです。おそるべしビジネスクラス。
さて、どうやってホテルに行きましょう。オーソドックスな方法は国鉄でアムステルダム中央駅に向かい、そこからトラムに乗り換えるというものですが、母の荷物はデカく(だからスーツケースはやめようと言ったのに!)トラムの切符の買い方も良く分からない上、中央駅周辺は犯罪も多いと聞きます。結局はホテルまでシャトルバスを手配することに(←母が)。しかし、受付嬢に指示された場所に止まっていたのは怪しげなワゴンバス。よく分からないシステムと運転手にドキドキしつつも、15分後に私たちを乗せて出発したワゴンはアウトバーンか!というほどの恐ろしいスピードで無事ホテルに到着したのでした。
比較的順調に来た旅でしたが、実はオランダに入ってから今一ついいことがありません。雪でめちゃくちゃ寒いうえ、ホテルの部屋は最上階の4階。しかもただの4階ではありません。ココはオランダによくある(らしい)作りの建物でエレベーターというものがなく、唯一ある階段はというと、これが想像を絶する狭さかつ急勾配だったのです。しかもガリバーサイズの天井のせいか、段数がこれまた多い。
「衝撃の階段」
コートを脱ぎ捨て、サブバッグを放り出し、ハアハア言いながらなんとか荷物を部屋に上げると、もはや動けず。着いてすぐ余裕があればゴッホ美術館に駆け込む予定でしたが、とてもとても。寒くて暗くて狭い部屋で二人ともしばらくベッドに崩れこんでしまったのでした。
飲み食いしますかと外出することにしたのは18時過ぎだったでしょうか。通りはそこそこにぎやかで飲食店もけっこうあるのですが、今ひとつ入る気が起こらない店ばかりです。行く前にオランダに住んでいた人から「オランダ料理の地位はヨーロッパの如何なる国よりも低く」「オランダ人は料理に限らず何事にも凝りません。故に一流品が極めて少ない」などと酷評メールをいただいてまして、その時は何もそこまで言わんでもと思っていたんですが、うろつき回るうち、ちょっと分かるかも...という気持ちになってまいりました。寒さは確実に人を弱めますね。
運河凍りまくり
街の大事な自転車屋
1時間ばかり寒空の下を歩き回ってもなお、難癖をつけまくる母曰く「酒場やん」、私には(イギリスによくある)パブにしか見えない、つまりは軽食が出て、お酒を飲める店に入りました。はぁやれやれです。
ひとまずビールを注文し、つけあわせにはやっぱりチーズですかね。元気で可愛いお姉さんに相談の結果、ゴーダチーズその他数種類のチーズ盛り合わせとバケット、そしてエンドウ豆のスープを注文しました。ビールはいくつかの店先で見かけた銘柄「PALM」を。店員さんは皆さん親切で、口々に「enjoy!」と声をかけてくれるのですが、あなたフランシー?あなたも?
運ばれてきたビールを飲むと、あら美味しい。この味はベルギービールっぽいけど、ここオランダだしな...グラスを見るとしっかり「Belgium」とか書いてありました。母がおかわりで注文したハイネケンも一口飲みましたけど、日本で飲むより断然美味しかったですよ。ビールを飲んだ途端、ちょっと元気になる親子。ビールは確実に人を幸せにしますね。
チーズ盛り合わせとバケットが到着。特にチーズは日本では考えられないほどの豪華さです。ハードチーズが大好きな父と妹が居たら喜ぶだろうねと話しながら、バケットにトライ。パンが美味しくてマスタードを塗り塗りするとけっこうイケます。エンドウ豆のスープはまあまあ。熱さが最大の御馳走でした。
そうこうするうちに、店内は地元の若者たちで混み合い始めました。いい雰囲気だなーと微笑ましく眺めながら、硬いチーズをドギーパックにしてお店を後に。うわーまた一段と寒くなってきたよ...。
戻ったホテルの部屋は暖房がほとんど効いておらず、その日は寒い!眠い!を連発しながら冬山登山かのような夜を過ごすこととなったのでした。
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