ジバラン
仕事もつつがなく終わり、ちょいとコンサートを聴きに行ってきました。
大阪フィルハーモニー交響楽団
朝比奈隆 生誕100年記念特別演奏会
(ザ・シンフォニーホール)
指揮:大植 英次
・モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
ピアノ:伊藤 恵
(アンコール:モーツァルト ピアノソナタ第15番ハ長調k.545 第1楽章)
・ブルックナー/交響曲第9番ニ短調
とにかくモーツァルトにつきたコンサート。
伊藤さんのピアノが想像以上に素晴らしかったです。個人的にモーツァルト=硬質な音といったイメージがあったのですが、伊藤さんはどちらかというと、ふわっと流麗な響きのタッチの方でした。それでいながら音の輪郭はしっかり浮き上がるんですね。ペダリングが素晴らしいのか、バランスが絶妙なのか。最初から最後まで乱れることなく、実に完成度の高い演奏でした。
オーケストラも良かったですよ。大植さんと伊藤さんのコミュニケーションが良くとれており、超小編成だったこともありますが、まるで大フィルじゃないかのようでしたわ。朝比奈先生もきっと草葉の陰から喜んでおられることでしょう。ほんと、弦楽器の底上げは進みましたね。面倒な3楽章ではちょこっと粗も見受けられましたが、そこまで言っては小姑と化してしまいますのでスルーの方向で。ただ、さらに上を目指すならやはり「神は細部に―」だと思います。
アンコールはモーツァルトのピアノソナタ第15番。
もっとも有名なソナタの1曲であり、関係ないけど私が生まれて初めて弾いたモーツァルトの曲でもあります。途中部分のモーツァルトトリルが弾けなくって、叩かれ泣かされましたねえ。以来いろんな演奏を聴いてきましたが、こんなに美しい曲だとはなあ。めくるめく音の羅列にほぅっとなってしまいました。
いや、もうこれだけで充分満足。
大フィル会員になろうかしら、なんて考えながら次のブルックナーを待ちました。ピアノをどうやって片付けるのかなあと見ておりましたら、ピアノは床ごと下がっていきましたとさ。ああそうか、クラシック専門ホールだもんねえ。
で、ブルックナーはですね、いつもの大フィルでした。朝比奈先生のブルックナーを聴いたことがないので比べようがありませんが、一言で言うなら浪花節。ともするとこぶしのひとつも聞こえてきそうなほど、ねちこくリズムが横揺れするブルックナーでした。そういうものなの?
気になったのは重低音。コントラバスが音程リズムとも微妙に揃っていなかったり、トロンボーン&ホルンのフレーズ頂点のタイミングがおかしかったりと、ブルックナーではもっとも重要なパートを担当しているのに、もう少し冷静にプレーしてくれよといいたくなりましたわ。
終演後は観客の熱狂とそれにこたえる指揮者大植さんのパフォーマンスタイム。長いのなんのって、ゆうに1楽章分ぐらいあったんじゃないでしょうか。ああこれは一つの宗教なのかなと眺めておりました。そこまで騒ぐほどブルックナーが良かったようには思えませんでしたが、モーツァルトが良かったのでまあいいかという気分。
いつものごとく、忘れた頃になって楽屋口から出てきた師匠と軽く雑談したのち、帰宅。
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